ぶた猫ぶーにゃんの社会的マイノリティ研究所

私、ぶた猫ぶーにゃんの「社会的マイノリティ」について考えるブログです。主に社会的マイノリティ、そして彼ら彼女らを侮辱する「毒オトナ」について綴っています。

毒オトナ社会の解きかた(30)チェ・スンボム著「私は男でフェミニストです」評~私も男でフェミニストです!!

こんにちは。  ¡Hola amigos!

今回は書評をお送りする。

この間、友人から借りて読んだ本のことを綴ろうと思う。

「私は男でフェミニストです」評~私も男でフェミニストです

いやあ、実に面白い本であった。

著者は「男子校」で勤務する男性教師。

いわゆる「ホモソーシャル」の坩堝るつぼフェミニズムを伝授している。

序盤のこの一文が心に響いた。

フェミニズムは、現実を客観化する道具である。別の観点から、以前とは異なる目線で世の中を見させてくれる。不条理を認識するように誘導し、不合理を正す勇気をくれる。耐えたり、自分を犠牲にしたりせず、譲ったり、あきらめたりせず、自分らしく生きていける人生を提案する。つねに我慢しなくていいことを、間違っていたのは自分ではなかったのだということを教えてくれる。だから、フェミニズムは男性にも有効である。力と勇気、意志と節制に代表される硬くて狭い枠にとらわれた男性性から救いだしてくれる。泣く男、しゃべる男、力のない男でも大丈夫だと勇気づけてくれる。軍隊に行けと駆りたて、デート費用やマイホーム費用の負担を与え、低身長や小さいペニスが悪いと自信を失わせる主体が「キムチ女*1」ではなく「家父長制」だったことを知るようになる。その事実を理解すれば、男性の人生も自由になる。(47ページ。太字大文字強調は引用者)

社会的マイノリティの立場に立つなら、フェミニストにならざるを得ない

私自身、「男はこうあるべき」に苦しみ続けた。

そして現在は「発達障害・軽度知的障害持ち」という社会的マイノリティである。

そうであるならば、「男らしさ」からの解放にもつながるフェミニズムには大いに賛同せざるを得ない、あるいはフェミニストにならざるを得ない。

そして、これは「当事者目線に立つ」ということでもある。

再び本書より引用。

米国の歴史学者ハワード・ジンは、白人の大学教授だった。すなわち、社会が変わらないほうが有利な既得権を持つ知識人だった。しかし、彼は黒人学生の学習権のために戦い、投票権を求める黒人たちの先頭に立った。繰り返される免職処分や投獄を目の前にしても貫き通してきた彼の信念に、ほかの白人たちも一人、二人と感化されていった。(95-96ページ)

これは私の師匠、「イダヒロユキ(伊田広行)」氏の生きざまにも通底する。

参考記事

sgtyamabuunyan2nd.hatenadiary.jp

 

 江南(カンナム)駅殺人事件*2についての論考に、最近のニッポンのマスコミ屋と似たような話が…

納得しがたい情報が次々と出てきた。警察は事件発生一日にして「統合失調症による無差別殺人」と結論付けた。「女性に無視され殺した」という犯人の一貫した陳述は、統合失調症を理由に退けられた。そのようにして統合失調症は残酷な罪を犯す動機にされ、同時に、一貫した陳述を棄却する根拠となった。犯人はAという理由で殺人を犯したが、その犯人の陳述をAという理由で信用できないと言う。ほかのすべての議論を根本的に封鎖する詭弁だった。(69ページ)

 

精神疾患者の「無差別殺人事件」として結論付けたら、どうなるのだろう。被疑者処罰で事件は終結する。社会が心がけるべき努力が消え去る。統合失調症の患者をいままで以上に注意深く管理するくらいが関の山だろう。実際、江南駅の殺人事件以降がそうだったのだ。「女性嫌悪殺人事件」と結論づけたら、どうなるのだろう。多くの場面でフォローが必要となる。テレビでは女性嫌悪をテーマに討論が行われ、各界各層の意見を聞く公聴会が開かれるだろう。国民からの意見募集のためのチャンネルが設けられ、各機関長が集い、対策会議が開かれるだろう。専門家集団に研究を依頼して現状を把握し、各行政機関が傘下団体に通達を送り、実態調査が行われるだろう。国会では性差別禁止法案が溢れるくらい提出され、国会立法調査処では現行法の条項の違法要素が綿密に調べられるだろう。企業側は採用、昇進、給与など人事に問題はないかをみずから調べ、教育界ではジェンダー平等教育や性認知教育などについて小中高の教育課程に反映すべきだという主張を真摯に検討しなければならなくなるだろう。(71ページ)

この部分を読んで、先月綴った「元・内閣総理大臣殺人事件」に関するNHKの報道姿勢を思い出した。

「犯罪心理に詳しい精神科医(笑)」「社会派作家(笑)」に「実行犯(容疑者)の動機はゆがんだ特権意識」「幼稚な社会への不満が根底」と語らせたあれ。

 

sgtyamabuunyan2nd.hatenadiary.jp

実際は「宗教系カルトにのめりこんだ毒親」というべき母親にずっと人生を支配され続けたことが問題だったのに。
先述の「犯罪心理に詳しい精神科医(笑)」は当該宗教系カルトの機関紙誌によく出ていたことでNHKは「恥ずべきマスコミ屋」に認定された。

それにしても、引用した部分で綴られている通り、「統合失調症」の五文字で片づけてしまえば、私たちは何も考えなくてもいいし楽である。
「個人の資質」「(自業自得と同義で用いられる)自己責任」とおんなじ。

 

sgtyamabuunyan2nd.hatenadiary.jp

私は堂々と叫ぶ。「私も男でフェミニストです!!」

この本を読んで、私はいろいろと学ぶところ大だった。

そして私は叫びたくなった。

私も男でフェミニストです!!!!!!!!!

だけど、毒オトナにはなってはならない。

特に「諸星ノア」「ぼそっと池井多」のようなミソジニー野郎になってはならない。

だったら自分は「男でフェミニスト」にならねばならない。

次回に続きます。

*1:引用者注、かつての「3高」を交際・結婚条件に求めるような女性。

*2:ニッポン国内であれば、2021年8月に起こった小田急線刺傷事件が事件のシチュエーションとしては近い。