ぶた猫ぶーにゃんの社会的マイノリティ研究所

私、ぶた猫ぶーにゃんの「社会的マイノリティ」について考えるブログです。主に社会的マイノリティ、そして彼ら彼女らを侮辱する「毒オトナ」について綴っています。

毒オトナ社会の解きかた(31)「ウィークネスフォビア」またまた私が「なぜ」と思っていた現象が命名されていた

こんにちは。¡Hola amigos!

今回も「毒オトナ社会の解きかた」。

最近マイブームになっている「田房永子」氏の関連書籍について綴る。

 

「ウィークネスフォビア」またまた私が「なぜ」と思っていた現象が命名されていた

先日、田房氏と「上野千鶴子」氏の対談が収録されている本、
「上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!」
を読了した。

本書最終盤に、私がずっと本連載などで疑問に思っていたことが綴られていたので紹介したい。

上野 田房さん、今ポイントついたよね。弱さを隠す。それを「ウィークネスフォビア(弱さ嫌悪)」って言うの。私はそれを「弱さを認めることができない弱さ」って呼んでる。男が一番弱いのが「卑怯者」と「弱虫」って言われること。たったそれだけのために死地に赴くわけよ。私は、右翼の女性にそれを感じる。女の中にあるウィークネスフォビア。彼女たちは女が弱者だということを嫌悪して、ホモソの社会に同一化した女の人たちなのよ。

田房 今はじめて納得しました。これまで右翼の彼女たちの主張がまったく理解できなかったんです。何を言っているのかぜんぜんわからなかったんですけど、そういうことなんですね。

上野 自分と同姓の女が被害者面するのが許せない。ガマンできない。

田房 あれこそ、こわいです。

上野 女がホモソの社会に同一化すると、自分の弱さを認められないだけでなく、同性の女が弱者であることがガマンできない。

田房 それはミソジニーなんでしょうか。

上野 女の弱さが許せないって、ミソジニーそのものでしょう。父に支配される母に同情はするけれど、それに唯々諾々と従っている母の無力さが許せない、という娘はいっぱいいるよね。同じ女だから、ほかの女の弱さを見ているのがつらいし、憎むんです。ミソジニーから男に過剰同一化して、男から承認を得ることを期待する女は、いっぱいいる。杉田水脈みおとか、稲田朋美とか。

(182-183ページ。大文字・太文字・赤文字強調も原文ママ。)

このページに私は「感動」した。

私が本連載、および前身の「毒オトナの条件」で綴った疑問にまた一つ「命名」がされていたから。

派遣村」バッシングも、そして近年の国政選挙での「それでも政権与党などを当選させる」心理もこれで説明できる

 

sgtyamabuunyan2nd.hatenadiary.jpこちらの記事の一文より。

  • 「母子家庭で育ちながら努力して困難な環境を乗り越えて一流企業に就職あるいは一流士業になれた人たち」が「母子家庭への公的支援の拡充を求める人たち」のことを見下す。
  • 「非正規雇用でありながら努力して家計をやりくりし、一人暮らしで生計してきた人たち」が「派遣切りに遭って『年越し派遣村』のお世話になっている人」を見下す。
  • 「かつて『HIKIKOMORI』=社会不適応状態だったが、努力して『コミュ力』を手に入れ社会=主流秩序に順応できた人たち」が「HIKIKOMORI」を見下す。

 

これら、みんな「ウィークネスフォビア」だったというわけ。

そして、昨秋の衆議院議員総選挙、そして今夏の参議院議員通常選挙での「あれだけ政権与党の大ポカを目の当たりにしても政権与党および『維新を名乗るナニワのトランピズム政党』を勝たせてしまう」現象も「ウィークネスフォビア」で説明できる。

これは以前から綴っているように「自分は『社会的弱者、マイノリティ』だと認めたくない」心理が働いている証左だろう。

共産党」「社民党」「れいわ新選組」を支持・投票すると同時に、
「自分は社会的弱者、マイノリティである」
ことを認めてしまうことになるから。

「自分は努力している、ここまで落ちぶれていない」と表明したいから。

sgtyamabuunyan2nd.hatenadiary.jp

やっぱり、「命名」は社会問題を可視化させる効果がある

また、本書では田房氏の「A面とB面」の話も登場する。

以前綴った記事でも使わせてもらった表現だ。

 

sgtyamabuunyan2nd.hatenadiary.jp

この「A面B面」の表現について上野氏がかなりほめていたのが印象的だ。

上野 私はいちいち、誰かから借りたってことをちゃんと覚えてる。私の前に立ち上がったおネエさんたち、オバさんたちに対する学恩があるから。フェミって名乗ると本が売れないとか、叩かれるとか言われてきたけど、私がフェミニストの看板をおろさないでいるのはそれを忘れないため。だから「大沢真理の言ったテーラーメイド」とか、「セジウィックホモソーシャルの概念」とか、発言主を忘れずに言葉を借りる。ピンとくる言葉って、聞いた瞬間ふっと腑に落ちるじゃない。あなたの「A面B面」って言葉もそうだけど、それだけで世の中がクリアに理解できるようになる。学問はそれをやってきたのよ。だから先人の学恩を忘れないため。(186-187ページ)

「それだけで世の中がクリアに理解できるようになる」…これこそ「命名」の「効用」なんだと思う。

私の「毒オトナ」というのも世の中の社会的マイノリティを虐待する「論理」を解き明かすキーワードというべきものだと思う(自慢)

それに、過去の連載で綴ってきたさまざまな「命名」も、毒オトナ社会の論理を「クリアに理解できるようになる」ために必要なこと。

現在はその「命名」を「国語辞典」と.言う形で動画にしている。

youtube.com

それではまた次回。